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2025年8月14日 09:17
データ削減に関するDDVE動作検証
データのバックアップと保護において、データ削減率は非常に重要です。今回は、Dell Data Domain Virtual Edition(DDVE)がどの程度のデータ削減率を達成できるか、また他のバックアップソフトウェアとの比較を交えてその性能を見ていきます。
すでに DD3300 は EOL が発表されており、DDVE と比較した時にそん色なく動作するものかどうかも一部で確認しています。
なお、DD3300 はすでに EOL が出ているため、DD6410 に差し替えるなどの何らかの乗り換え先を検討することをお勧めします。(2025/04/01)
検証環境
- サーバハードウェア: PowerEdge R660xs
- ハイパーバイザー:Windows Server 2022 Hyper-V
- DataDomain:DDVE [DDOS 8.3.0.15-1161254]
DD3300 [DDOS 7.9.0.0-1011258]
- バックアップ対象: TESTVM (Windows Server 2019 Standard)
仮想マシン容量 Cドライブ:200GB(17GB利用済)
Dドライブ:100GB(43GB 利用済) - バックアップソフトウェア
各バックアップソフトでは圧縮を無効化することはできません。 -
- Veritas System Recovery 23
- Veritas System Recovery 18
- Acronis Cyber Protect 16
- なし
バックアップソフトを使用しないでバックアップ対象をそのままコピーした場合
検証結果
仮想マシンバックアップによる検証
Veritas System Recovery 23
圧縮率 |
処理時間 |
バックアップソフトウェアによる圧縮後容量 |
DDに保存後の容量 |
3.5:1 (71.4%) |
17分 |
60GB (ほぼ利用済容量合計に等しい) |
17.2GB |
Veritas System Recovery 18
圧縮率 |
処理時間 |
バックアップソフトウェアによる圧縮後容量 |
DDに保存後の容量 |
2.5:1 (60.1%) |
18分 |
59.3GB (ほぼ利用済容量合計に等しい) |
23.7GB |
この結果から、Veritas System Recovery 23とVeritas System Recovery 18はバージョンに関係なくほとんど変わらないレベルでの圧縮や重複排除が効いていることがわかります。バックアップ対象が基本的な OS とデータ保管レベルでしかない環境ですが、Data Domain ではバックアップソフトがデータ削減したあとのデータをさらに2~3倍程度のデータ削減ができており、この結果は十分にお客様にメリットがあるものと考えます。
Acronis Cyber Protect 16
圧縮率 |
処理時間 |
バックアップソフトウェアによる圧縮後容量 |
DDに保存後の容量 |
1:1 (-5.1%) |
6分 |
20.0GB |
19.0GB |
Acronis Cyber Protect 16では、Data Domain 上では圧縮効果がほとんど見られなかったものの、処理時間は非常に短いことが確認されました。
バックアップソフトなし
(仮想マシンからのフォルダ/ファイルレベルコピー)
圧縮率 |
処理時間 |
バックアップソフトウェアによる圧縮後容量 |
DDに保存後の容量 |
4.5:1 (78%)
|
6分 |
- |
9.4GB |
処理時間とデータ削減結果だけ切り取って見ると、どのバックアップソフトよりも高い結果が得られています。ただし、スクリプトを作成したとしてもスケジュール機能や障害に対する高い信頼性はバックアップソフトに及びません。
データ削減の繰り返し実行
複数の世代データをバージョンごとに削減した結果、特定の回数のフルバックアップ後、各ソフトウェアでの削減率は以下の通りです。
Veritas System Recovery 23
フルバックアップ回数 |
削減率 |
1回目 |
71.40% |
2回目 |
81.60% |
3回目 |
85.20% |
Veritas System Recovery 18
フルバックアップ回数 |
削減率 |
1回目 |
60.10% |
2回目 |
78.10% |
3回目 |
84.00% |
Acronis Cyber Protect 16
フルバックアップ回数 |
削減率 |
1回目 |
-5.1% |
2回目 |
46.1% |
3回目 |
63.4% |
バックアップソフトなし
フルバックアップ回数 |
削減率 |
1回目 |
78.00% |
2回目 |
88.60% |
3回目 |
92.20% |
結論
当初の想定通り、DDVEは高いデータ削減率を実現できていました。同じような環境(物理サーバ、仮想マシン)を複数台並行でバックアップしたり、複数世代バックアップする必要がある場合にはData Domain のデータ削減機能が最適であることがわかります。
また、Data Domain をバックアップ先としたバックアップソフトウェア選定については処理時間やコストを考慮しつつ、要件(アプリケーション環境バックアップ、無停止バックアップなど)に最も適したソリューションを選択することが重要であることがわかります。接続互換性確認は各メーカーで実施され、Dell Technologies のサイトで公開されていますが、実際にどの組み合わせでパフォーマンスが最適なのか、データ削減の効果が高いのか、は試してみないとわかりません。ただ、傾向としてはバックアップソフトで圧縮や重複排除はせず Data Domain に任せた方が効果は高く、複数世代バックアップ行うことで、その効果は上がるようです。
今回の検証では、
- NASの容量単価とDD(アプライアンスもしくは DDVE)構成の価格
- バックアップ処理時間
(今回の検証結果では一般的なNASへのバックアップよりも20%程度短縮)
を比較することでバックアップソフトウェアの選択に貢献することがわかりました。
Veritas System Recovery Ver18 (認定済(但しソフトウェアメーカー側のサポート終息)と、Ver23(未認定(かつ現行サポートバージョン))は同レベルのデータ削減率が提供てきでいました。Veritas System Recovery Ver23の接続限定での条件付き認定とAcronis Cyber Backupをはじめ、今回は検証範囲外となりましたが、ARCSERVE社製品やVeeam社製品の弊社主力取り扱いバックアップソフトウェア製品群の継続的な認定(CIFS/NFS/DDBoostなど)が得られる事が前提必須になると考えます。
DD3300の後継製品として、DD6410が推奨されていますが、Hyper-V ホスト、VMware ESXiホストなどの仮想環境上にDDVEを稼働させる構成が弊社市場(要件、規模、価格帯)としてはより現実的なものであり、Data Domain と共にバックアップ要件やシステム規模に応じたソリューション商材として提案活動を進めていきたいと考えます。
情報提供
リコージャパン株式会社 デジタルサービス技術本部 デジタルインフラ事業部 基盤第4ソリューション部 関西基盤グループ 平田 英樹