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2025年6月6日 00:45
[Meet The Experts]F5とDell NativeEdgeについて
Expertにわからないことを聞きまくる「Meet The Experts」。
F5ネットワークスとDell Technologiesの協業について聞きつけ、さっそくスペシャリストの皆さんへ突撃しました!
Experts:
丸瀬 明彦氏(写真中央)
F5ネットワークスジャパンCTO。IT業界歴30年、主にモバイル基盤や企業IT基盤の開発・構築に携わってきたエンジニア。現在は日本だけでなくアジアパシフィック全体でF5ソリューションを包括的に伝える役割を担う。根っからのエンジニア気質で、趣味のゴルフでは肋骨を2本骨折し、手首が腱鞘炎になるまで練習を続けたという逸話も。
小峰 洋一氏(写真右側)F5ネットワークスジャパンソリューションアーキテクト。Webアプリケーションやセキュリティ製品を含めたアーキテクチャの開発に従事。夏前にもかかわらずこんがり焼けた肌は、毎週末の“推し活”(小学5年生の息子のサッカー観戦)の成果。父としてはバスケットボールに人生を見出してほしかった・・・。
金子 まどか氏(写真左側)
F5ネットワークスジャパンソリューションエンジニア。おとなしそうな外見とは裏腹に、仕事が楽しくて毎日くたくたになるまでお客様のもとへ通う情熱家。今回の「Meet The Experts」企画も、彼女の尽力なくしては実現しなかった。
横串という役割
丸瀬氏:ちょうど「CXOラウンドテーブル」という業界リーダーたちとITの課題を話し合う場があったので、そのときに使ったプレゼン資料をもとにF5について説明しますね。
今年3月、日本法人として初めてCTOのポジションに就任しましたが、F5には2種類のCTOがいます。開発系のCTO(一般的なタイプ)と、私のようなフィールドCTOです。フィールドCTOは、社内外にサイロ化された情報を横断的に結びつける「横串」の役割を担っています。
つまり、F5のソリューションを伝えるだけでなく、お客様の声を聞き、それをもとにより良いサービスを開発していく立場です。
Ayas:なるほど、「横串」という発想は大切ですね。とはいえ、F5さんはネットワーク全般をカバーしているために、複雑さがあり大変なことが多いのではないでしょうか?
丸瀬氏:F5はもともとロードバランシング技術から始まった会社ですが、今ではネットワークに関わるあらゆる課題、セキュリティやアプリケーションとの連携までカバーしているので、たしかにシンプルとは言えませんね。
さらにAIの登場により、処理能力やサーバー負荷の問題も増えました。GPUやCPUのリソースをAIタスクへ効率的に振り分けるため、DPUなどの中間処理を担う製品も提供しています。ますます複雑になっているのは確かです。
そのような状況であるからこそ、F5はお客様が本来達成したい目的を、安全かつ効率的、そしてシンプルに実現できるようなソリューションを提供し続けたいと考えているのです。
悩む必要のない世界
小峰氏:「F5といえばBIG-IPだよね」とよく言われますが、F5はネットワークだけではなく、ある意味セキュリティの会社と言っても過言ではありません。
AIが絡むと、「誰が使うのか」「どんなデータを使っていいのか」「プロンプトに制限は必要か」など、考慮すべき要素が増えます。従来のエンタープライズ環境でも、アプリケーション固有のセキュリティ権限やネットワーク構築が必要です。
だからこそ、F5のサービスでそうした面倒な部分をお客様からオフロードするのです。
丸瀬氏:しかも、我々はロックインしません。F5製品をベースにしつつも、組み合わせは多種多様。アプリケーションやユーザー環境、AIライフサイクルのどのフェーズでも、お客様のニーズに合ったネットワークサービスを提供できます。
つまり「F5ができること」を見せるのではなく、「お客様がやりたいこと」に合わせてソリューションを提供するのです。
Ayas:なるほど、プロダクトベースではなく、ニーズベースの発想ですね。
丸瀬氏:「やればできる」ではなく、「お客様が欲しいものが既にできている」状態を目指しています。F5コンソールで希望を設定すれば、必要なシステムや設定が自動で構築される -それが将来的なゴールです。
Ayas:ネットワークだけではなくアプリケーション、ユーザーどちら側からも俯瞰的に見る姿勢が必要になりますよね。
丸瀬氏:F5が好きでよく使う絵にBall Of Fire(※)があるのですが、正にそれです。ユーザーとアプリケーションまでの道のり、ネットワークには様々な要素が複雑に絡まりあっている、それをユーザーが一つ一つ解決していこうとするのは非効率だし、時間もコストもかかる。
※ Ball of Fire(出典:https://www.f5.com/company/blog/simplifying-the-complexity-of-a-hybrid-multicloud-landscape)
小峰氏:だからF5のサービスがそういった煩雑になりがちな部分を請け負って、お客様にもっと新しいこと、進化をするための時間と労力を割いてもらうのです。
我々が提供する、というよりも、お客様の困っていることを聞いて、どうやったらそれが困らなくなるのか、そういうものを我々が見つけ、そして作る、という感じです。
Uehara Y.:こちらからするとそこが「いいところに目をつけてるよなあ。」と感じる部分ですね。といいつつも、BIG-IPやXC、NGINX Plusなどを見ていると、なんとなく機能や提供しているサービスが似ていて、どこでどれを使えばいいのか悩みそうです。
小峰氏:別の見方をすると、我々は自分達が提供したいと考えているコアな部分をきちんと理解しているから、そのようなことになっているのだと思っています。
つまり、コアがぶれないように少しずつ新たなものを付け加えていくということです。そのために、ある程度機能の重複はしょうがない、それよりF5が世の中に提供する価値を大事にしていこうという姿勢ですね。
そして最終的に丸瀬がお伝えしたように、「F5コンソールで希望を設定すれば、必要なシステムや設定が自動で構築される」という世界を目指していきます。そうすればお客様が悩む必要もなくなりますから。
作りこむ技術力
Uehara Y.:F5さんはユーザーとアプリケーションをつなぐ仲介者ですが、Dell NativeEdgeとはレイヤー的に距離があるようにも思えます。
丸瀬氏:だからこそ、Dell Technologiesさんとのパートナーシップは、ネットワークとハードウェアの「使いやすく出来上がったもの」を組み合わせて提供できる絶好の機会だと考えています。
小峰氏:Dell Technologiesさんのブランド力は、製品のクオリティによってお客様に強く響きます。
Uehara Y.:そう言っていただけるのは非常に嬉しいことなのですが、実際のところDell NativeEdgeとして準備しているハードウェアと、F5のネットワーク関係のサービスの間には、アプリケーション、及びアプリケーションを動作させるためのOS相当が必要になるはずです。
アプリケーションはユーザーが自社開発したり3rdパーティのものを利用するとしても、動作させるためのOS相当は、x86系のサーバーで動くものであれば実は何でもよいのではないか、などとも考えてしまいます。
丸瀬氏:機能的な話をするとそうかもしれません。しかし実際の運用を考えてみるとその重要性が分かるのではないかと思います。
Edgeデバイスがロケーション的に離れた場所に複数あることは多々あるはずです。それら全てを一つ一つ管理するのは処理が煩雑になるでしょうし、何かミスが起きる危険性も増えるのではないでしょうか。
しかしながら、Dell NativeEdge Orchestratorを利用すれば、遠隔地にあろうと全てのデバイスを一元管理することができる上に、監視だけではなくOSのアップグレードなどのメンテナンスも可能となります。
しかも先ほど申し上げたようにDell Technologiesの製品クオリティが高いというだけでなく、万が一機器に問題が発生した際のサポートやロジスティクス体制も強固であると認識しています。
Uehara Y.:なんだか本当は私が言わなくてはいけないような内容をおっしゃって頂いて恐縮ですが(笑)、確かにその通りですね。
丸瀬氏:加えて、リファレンスアーキテクチャとして、Dell Technologiesの製品は他にない品質を持っています。「出来上がっていて使いやすい」ものを作り込める力がある。そうしたEdgeデバイスを、F5の安全で効率的なネットワーク基盤で動かせば、お客様のビジネスの可能性は無限大です。
Uehara Y.:そしてネットワークに関することは、F5さんのコンソールで一元管理できると。
本当に双方が補完しあうことによりEdgeの世界が大きく広がっていく可能性が十二分にありますね。
ちなみにDell Technologiesには直接関係ないのかもしれないアプリケーションについて確認をしたいのですが、Edge用のソフトウェアを開発する会社としてはF5のネットワークを利用しているかいないかで、実はセキュリティの強度が変わる気がします。この認識は合っているでしょうか。
丸瀬氏:そうですね。もちろんソフトウェア側でもセキュリティ対策は考えているはずですが、我々はネットワークの観点からのセキュリティを専門としたサービスを提供することができるので、ソフトウェアとは全く違った観点でのセキュリティを提供することになります。
その結果、おっしゃる通りシステムやサービス全体から見てセキュリティを各段に向上させることができるはずです。
Uehara Y.:やはりそうですよね。ネットワーク側からみたアプリケーションやサービスのセキュリティということはこれまで考えたことがなかったので、今回F5さんの製品を見てとても興味が沸きましたし、勉強になりました。
また、本当にF5さんとDell Technologiesが協業することで、Edgeサービスを実現するための強固なプラットフォームをお客様に提供できるのだということが理解できてなんだか嬉しくなりました。
丸瀬氏:ありがとうございます。将来的にはPowerEdgeとのインテグレーションも視野に入れており、Edgeを含むAI向けの壮大なネットワーク構築も夢ではないところまで来ていると感じています。
そして今後もF5は仲介者として、各分野の重要な要素を効率的かつ安全に結びつける役割を担っていきます。
インタビュー後金子氏(元ストレージ屋)との立ち話にて・・・
Ayas:ネットワーク系は本当に苦手だったけど、送ってもらった資料でとっても助かりました!ありがとうございます!奥が深い!
金子氏:もう何年かやってるけど、ストレージとはちょっと毛色が違うので毎日新しいことの連続です。
毎日ほんと楽しい!
Ayas:いい会社なんだね!
あふれんばかりの笑顔でうなずいてくれる金子氏を見ていたら、とびっきりの人たちが強固で安全なネットワークを作り出すF5ネットワークス、強固なハードウェアを作るDell Technologiesの2社が協業することで世界制覇も夢じゃないかも!と考えたAyasなのでした。