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2022年12月7日 20:00
【Coffee Break】PowerFlexのちょっといい話 ~PowerFlexのHCI構成編~
この投稿は「ちょっとしたストレージ関連技術のTIPSを思いついたら書いてみる」というコンセプトで、デル・テクノロジーズ社内のTeamsグループ/チームでゆる~く運営されている「Coffee Break」からの情報抜粋です。今回はPowerFlexスペシャリスト(とそれ以外にも複数の顔を持つ社内有名人)からの投稿を抜粋しました。
PowerFlexのよく知られていない話やお伝えしきれてない部分をお伝えする「PowerFlexのちょっといい話」。今回はPowerFlexのHCI構成についてお届けします。
PowerFlexは、ベースはSoftware Defined Storage製品でありながらHCI構成も取れる製品ということで、よくHCI製品のカテゴリーにくくられることがあります。
では皆様、今更ながらではありますが、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)の定義って何でしょうか?
「HCIとは?」とググるとほとんどが以下のような説明文だと思います。
(某サイトより)
計算機能とストレージ機能を複数サーバで統合し、シンプルな基盤としてサーバ仮想化環境を提供する製品。運用管理、仮想化、スイッチ、サーバ、ストレージといった機能を、一体型パッケージで提供する。個別の製品でサーバを構成する従来の手法より、導入が容易で拡張性も高いのが特徴。全サーバの内蔵ストレージは、SDS(Software Defined Storage)技術を用いることで、仮想的に共有ストレージとして利用可能となる。これにより外部ストレージを不要としている。
Wikipediaさんはこう言っています。
ハイパーコンヴァージド・インフラストラクチャ(HCI、英: Hyper-Converged Infrastructure)は、コンピュータシステムにおける計算機能、ネットワーク機能、ストレージ機能といった基盤機能を、仮想化機能と標準的なハードウェアだけを用いて実装し、水平スケールを容易にしたシステムアーキテクチャ、あるいはこのアーキテクチャを採用したアプライアンス製品群の名称。
どちらの説明文も、特に違和感なくシックリ来るかと思います。
ただ、何げなく説明を読んでいてほとんどの人が気にしていないと思われるのが、(サーバーの)「仮想化」という言葉です。HCIはサーバー仮想化ありきで話しているサイトが多いと思います。
ノード障害時のカスタマーワークロードの継続性を考えるとvSphere HAのようなフェールオーバー機能が必要になるためサーバー仮想化が当然必要となります。そのため(もちろんそれ以外の理由もありますが)、自然と、HCIはハイパーバイザーありきという考えを持つ人がほとんどです。
ただこれ、ハイパーバイザーがないとだめなのでしょうか?
フェールオーバーがOSやアプリケーション側機能で行えるのであれば、カスタマーワークロードの可用性という観点ではハイパーバイザーは必須という訳ではありません。HCIとは、ざっくり言うと、コンピュートやストレージ機能などインフラに必要な機能を汎用的なx86サーバーのみの1-layer構成で実現するアーキテクチャーのことですので、もしお客様がベアメタルサーバーにおいてHCI構成を組みたいと希望したとしても、ハイパーバイザーありきで考えられている一般的なHCI製品ではそれを実現することができません。HCIを諦めて従来の3階層構成を取らなくてはなりません。
でも、PowerFlexではベアメタルOSでもHCI構成が組めてしまうんです。
こんなイメージです。
アプリケーションが稼働するベアメタルサーバーにソフトウェアデファインドストレージを構成するためのモジュール(SDS)を導入しつつ、ストレージリソースを利用するためのクライアントモジュール(SDC)もインストールします。SDSとSDCが同一ノード上に同居する構成、これがPowerFlexでいう「HCI」構成(*)です。
クライアントノードはあたかも自身のローカルデバイスを利用しているかのごとくストレージリソースにアクセスしますが、その実態はPowerFlexノード全体に跨るストレージプールから切り出されているボリュームです。
(*)どんなベアメタルOSでもこの構成が組めるという訳ではありませんので、サポートされるOSについてはPowerFlex Support Matrix(要ログイン)をご確認ください。(OSやバージョンによってはRPQが必要になる場合あり)
え、そんな構成が求められるケースなんてある?? と思われた方もいるかと思います。
結構あるんです。
ちょっと応用編ではありますが、そのケースの1つに、ベアメタルコンテナ環境(ハイパーバイザーを利用しないコンテナ環境)があります。
これまでPowerFlex + コンテナ案件のほとんどは2-layer構成(一般的に言う3階層構成)でしたが、ベアメタルコンテナ環境をシンプルな統合管理基盤で実現すべくHCI構成を求める声は徐々に増えてきています。
非コンテナなトラディショナルなワークロード環境でも意外とベアメタルHCIのニーズはあります。
実際、国内のPowerFlex導入実績でもベアメタルHCI構成を取っているお客様はいらっしゃいます。
また、つい先日も以下のような顧客条件を満たせるDell製品はないか、と相談を受けました。
- サーバー数: 8
※既存ベアメタル。仮想化はできなくはないが、移行作業・コスト等を考えると、極力したくない。 - サーバーあたりの平均必要リソース: 24 vCPU、256GB Memory、25TBストレージ領域
- 複数サーバー間でストレージを共有したい
- 3階層構成は取りたくない
- サーバーの可用性(フェールオーバー)はアプリケーション側で担保
普通に考えるとVxRailのようなHCIシステムの提案が王道な気がします。
ただ、サーバーあたりの必要リソースや可用性がアプリケーション側で考慮されていることを考えると、サーバー仮想化を前提で考えるメリットはほぼありません。vSphereなど仮想化で必要となるコンポーネントがコスト的にも無駄になってしまいますし。
この案件では、まさにPowerFlexが解でした。
PowerFlexを利用することで、ベアメタル環境にもかかわらずHCI構成を組むことができ、3階層構成の導入や管理の煩わしさから解放されます。
もちろん、現在ではほとんどのお客様のワークロードは仮想化されていると思いますので、こういった要件は結構レアだと思います。どちらかと言うと、ハイパーバイザーをベースとした一般的なHCIシステムでの構成を軸としつつ、仮想化できないもしくは仮想化したくないワークロード(例: Oracleなど、仮想化してしまうとクラスターのコンピュートリソース全体に課金されてしまうアプリケーション)をどのように統合管理するかという点が課題になるケースの方が多いかと思います。
そんな時もPowerFlexが解になります。
ESXiなどのハイパーバイザーをベースとしたHCI構成で大半のワークロードをカバーしつつ、何らかの理由で仮想化がNGなワークロードはベアメタルで構成。ベアメタルのクライアントノードはHCIから切り出されたボリュームを利用。
※ ベアメタルノードからすると外部ストレージを利用しているイメージになりますので、2-layer構成を取っています。
HCI構成も2-layer構成も1つのシステムとして構成・管理。
ベアメタルでもハイパーバイザーでもHCI構成を取ることが可能。
そんな柔軟なワークロード統合構成をPowerFlexであれば実現することができます。
以上、簡単でしたが、PowerFlexのちょっといい話 「PowerFlexのHCI構成」編でした。